19歳の僕へ

三十路を超えた“僕”から暗闇の中を走っていた19歳の“僕”へ激励のメッセージ。

受験勉強で死にたいと思っている“僕”へ

悲しい事件が起きた。

大学入学共通テスト

(君の時代でいうセンター試験)の会場で、
高校2年生が受験生3人を切りつける事件が

起きた。

 

それも、少年が入学を夢見た志望校の試験会場で。

 

「勉強がうまくいかなくて死のうと思った」

のが理由らしい。

 

この日のために賭けてきた人達の人生を狂わせたあまりにも身勝手な犯行。

被害にあった3人は可哀想でならない。
しかし、誤解を恐れずに言うと、
もしかすると本当に可哀想なのは
会場で事件を目撃してしまったことで心を乱し、
力を出し切れなかった受験生達かもしれない。

 

彼らはケガこそしなかったが、
本来の実力を出し切れなかった

潜在的な被害者」だ。

 

問題が全然問題が解けなくて、焦れば焦るほど
頭が真っ白になるあの経験、君もあるだろう。
それをよりにもよって試験本番で、
極限状態で力を出し切れと言われたら…

 

許せない。
絶対に許せない出来事だ。

 

だけど、君=“19歳の僕”のが今思っている

気持ちを代弁してあげよう。


この少年を許せない一方で、
「気持ちが少し分かる気がする」

と思っているのではないだろうか?

 

共感したのは、
「自分の不幸なんだから、

    他の人も不幸になってしかるべきだ」
という点では決してなく、

「勉強がうまくいかなくて死のうと思った」

この部分だ。

 

君=“19歳の僕”も同じ気持ちだろう。
受験勉強が本格化した途端、
目の前には「受験」という

一本のレールしかなくなって、
皆そのレールの上をぎゅうぎゅうになりながら

走り始めた。

 

テストの点数=人間の価値
かのように錯覚しそうな毎日。

 

朝3時に起きて勉強してみたり、
風呂の間も英語をリスニングしてみたり。
そうやって頑張って点数として報われなかったら…


大げさでなく死にたくなる。

 

だから君はこの少年に

同情の念を抱いてしまったのだろう。


しかも彼はまだ高2。日本屈指の進学校
おそらく早くから受験レールに乗せられ、

他の選択肢を選ばせる権利ももらえず、
走らされていたのではないだろうか?

 

彼の行為は決して許されるものではないが、

彼もまた画一的な社会の被害者なのかもしれない。

ついついそんなことを思ってしまう。

 

ところで最近、当たり前の結論に落ち着いた。
それは、

「学歴と人間的魅力は関係ない」ということだ。


現に14年後の僕が一番尊敬している人に、
目を見張る学歴はない。

逆に誰かに与えられたレールを必死に走ってきた人は、
「可もなく不可もない人」が多い。

 

もちろん、

今君が必死でレールを走っていることは
無駄ではない。いや、とても価値があることだ。

 

きっと志望校に合格した時、
君は一生モノの自信を手に入れるだろう。

 

「あんなに努力できたんだから、

 この壁もきっと乗り越えられる。」
今の僕は、君に支えられている。

だが、

 

一番大切なことは「後悔ない位、全力を出し切った」ということだ。

 

学歴を手に入れることが素晴らしいのではなく、
「夢を持って努力をする」ことが素晴らしいのだ。

 

受験は誰かを蹴落としたり、

傷つけたりするのではない。
ただただ自分と向き合う孤独な戦いだ。

不安になってきたかな?

 

大丈夫。

 

君は正直、これといった才能はないけど、
「努力する才能」だけは持っているから。

 

逆に入り過ぎた力を抜いてあげられるよう、
また君にメッセージを送ろうと思います。

 

ではまた。

 

19歳の僕へ

「19歳の僕」へ

 

突然のメッセージ失礼します。
今年19歳になった君へ、
33歳になった未来の僕から

メッセージを送ることにしました。


あれから14年後、

と区切りの悪いタイミングであることを

お許しください。

 

19歳の君からすると、33歳の僕は

とっても大人に感じるかもしれません。
もちろん多少の知識はついたけれど、

実は心は19歳の時と何も変わっていません。

 

君が想像しているよりも偉くなってもいません。
(これは言わない方が良かったか)

 

ただ、ちょっとだけ君よりも

長い時間生きてきて、
それなりに楽しいこととか、

辛いこととか経験する中で
「あの時こうすれば良かったのかな?」

と思うことがちょこちょこあって、


それを君に伝えたくなって

僭越ながらメッセージを

書き始めることにしました。

 

 

19歳の君は、

どこの大学も受からなくて

浪人生をしていますよね。


で、周りの人達を見返したくて、
国立理系から思い切って

私立文系に舵を切りましたよね。


第一志望は早稲田。でも友達に

慶應の方がかっこよくない?」
と言われてすぐに

「第一志望は慶應

と言い張るようになりましたよね。

 

その結果がどうなったかは、

ここでは言わないようにしておきますね。


「ここで死ぬ気で頑張って

 慶應に受かったら、人生が変わる」


そう信じて頑張っている君に

結果を伝えてしまうのは野暮だから。

 

「浪人生」って、すごく怖いよね。
今までは当たり前に

「○○小学校」「△△高校」と

名乗っていたのに、人生で初めて

どこにも所属させてもらえない立場なんだから。

 

急に宇宙に放り出され、

一人真っ黒な空間にぷかぷか浮かんでいて、
誰にも自分の存在が見えていない。

いてもいなくてもいい存在。


自分が無価値に思えて

「死んでも誰も悲しまないのでは?」
とまで思い詰めているよね。

 

でも、大丈夫。
きっと助けてくれる人がいるから。
しかも意外な人が。

 

大学になっても社会人になっても

同じことが起きた。


いつも人生の岐路や、

苦しい時に手を差し伸べてくれる人は、
思いもよらない「意外な人」だった。

 

でも、どうやら助けてもらうには

コツがあるみたいだ。


それは普段から「誠実」であること。


それは「君は誰かが助けたくなる人か?」

ということなのかもしれない。

 

君はどんな人を助けたいと思うだろうか?


それを考えていけば、おのずと答えが出るかもしれない。


あんまりに普通すぎて役に立たなかったかな?
お節介かもしれないけど、

またメッセージ書きますね。

ではまた。